石炭火力、狭まる包囲網
エネルギーに関心を持ったという方も多いのではないでしょうか。
世界は、脱石油、脱石炭。クリーンエネルギーに動いています。
そんな中、日本の脱石炭に向けた取り組みを、
6月21日の日経新聞からご紹介しましょう。
2015年には地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」が
採択され、これをきっかけとして、日本も脱石炭に動き始めました。
「パリ協定」では、長期的に温暖化ガスの大幅な削減が求められ、
二酸化炭素の排出量が多い石炭火力が標的になったからです。
イギリスやフランスは、20年代から30年代での石炭火力の
廃止を打ち出しています。
世界の投資家や銀行も環境面から採算が合わないと懸念し、
資金を引き揚げ始めました。
日本でも、石炭の火力発電所の中止が相次いでいます。
背景は原発事故
日本が石炭火力を推進する背景は、11年の東京電力福島第一原発事故です。
発電の2-3割を占めた原発が止まり、安価で発電力も大きい石炭を基幹電源に据えたのです。
この判断は、やむを得なかったといえるでしょう。
石油のメリットは発電コストが安いこと。しかし・・・・
石炭の発電コストは1キロワット時当たり、12.3円と、
石油同30.6円-43.4円、液化天然ガス(LNG)13.7円より安いのが特徴。
しかし、二酸化炭素の排出量が多い石炭は、
環境への観点から嫌煙されています。
石油メジャーのイギリスBPなどは炭素価格に基づく
排出量取引など「カーボンプライシング」導入を各国に求めました。
炭素価格が付けば、CO2排出量が多い石炭は発電コストが上振れし、
市場から追い出されることになります。
技術革新がカギ
日本は、石炭火力の逆風をかわすため、CO2排出量を抑える技術の導入を進めています。
そのひとつが、発電効率の高い石炭ガス化複合発電(IGCC)。
石炭火力を維持しながら、原発や再生可能エネルギーを拡充することが狙いです。
また、環境面の課題を乗り越えるには、
石炭火力から発生するCO2を地中に埋めて排出を抑える技術の確立が欠かせません。
経済産業省は、二酸化炭素地下貯蔵(CCS)の実用化に向けた有識者会合を立ち上げました。
環境後進国、日本。
世界の潮流に取り残されないよう、環境に優しいエネルギーを
推進してほしいものですね。