食品添加物 安さと便利さと引き換えに失うもの
「食品添加物」がいけないというけれど、
「厚生労働省が認めてるんでしょ?」
「国が安全って言うんだから」
「んなこと言ったって、摂らないのなんて無理じゃん」
という人は大勢います。
もしもあなたがそうなら、「現場」を見てから決めてもいいかもしれません。
以下、「食品の裏側」著者:安部 司 からの引用です。
そのミートボールは、スーパーの特売用商品として、あるメーカーから依頼されて開発したものでした。
発端はそのメーカーが、「端肉」を安く大量に仕入れてきたことでした。
端肉というのは、牛の骨から削り取る、肉ともいえない部分。
現在では、ペットフードに利用されているものです。
このままではミンチにもならないし、味もない。
しかくとにかく「牛肉」であることには間違いない。しかも安い。
この「端肉」で何かつくれないか、と私に相談が来たのです。
元の状態では形はドロドロ。水っぽいし、味もなく、とても食べられるシロモノではありません。
これを食べられるものにするにはどうしたらいいか―そこが発想の出発点でした。
まず、安い廃鶏(卵を産まなくなった鶏)のミンチ肉を加え、さらに増量し、ソフト感を出すために、「組織状大豆タンパク」というものを加えます。
これは「人造肉」とも言って、いまでも安いハンバーグなどには必ず使われています。
これでなんとかベースはできました。
しかしこのままでは味はありませんから、「ビーフエキス」「化学調味料」などを大量に使用して味を付けます。
歯触りを滑らかにするために、「ラード」や「加工でんぷん」も投入。
さらに「粘着剤」「乳化剤」も入れます。
機械で大量生産しますから、作業性をよくするためです。
これに色を良くするために「着色料」、保存性を上げるために「保存料」「pH調整剤」、色あせを防ぐために「酸化防止剤」も使用。
これにソースとケチャップを絡ませれば出来上がりなのですが、
そのソースとケチャップも、いわゆる「市販」のものは使いません。
そんなことしていたら、採算が合わず値段を安くできないからです。
コストを抑えるために添加物を駆使して「それらしいもの」を作り上げるのです。
まず水酢液を薄め、カラメルで黒くします。
それに「化学調味料」を加えて「ソースもどき」をつくるのです。
ケチャップのほうは、トマトペーストに「着色料」で色をつけ、「酸味料」を加え、「増粘多糖類」でとろみをつけ、「ケチャップもどき」を作り上げます。
そのソースをミートボールにからめて真空パックにつめ、加熱殺菌すれば「商品」の完成です。添加物は、種類にして20~30種類は使っているでしょう。
もはや「添加物のかたまり」と言っていいくらいのものです。
本来なら産業廃棄物となるべきクズ肉を、添加物を大量に投入して「食品」に仕立て上げたーそれがこのミートボールだったのです。
以上、「食品の裏側」 安部 司 より引用
企業の経済活動の裏で、行われている大量の添加物使用。
「安く、大量に」
消費者がこれを追い求めた結果、「売れれば何でもいい」という企業側の姿勢を招いたのでしょう。
確かに法律には違反もしていない。
消費者は(表面上は)喜んでいる。
けれども、道徳的に、何かがおかしい。
昔は、自給自足でした。
自分で食べる分は、自分で作っていた。
自分の食べるものに、白い粉は気持ち悪くて入れない。
けれども資本主義社会とは、
「人のもの」を作る社会。
人、つまり、食べる人の顔が見えない。
だからきっとこういうことが出来てしまうのでしょう。
食品加工工場の職員は、自分の工場の製品は食べない、と
いいます。
農薬を使っている農家もそう。
自分の食べる分は別にして農薬をかけない、と聞いたことがあります。
自分が食べたい、自分の愛する子供に食べさせたい、
作り手が本気でそう思えるものがもっとたくさん出回る世の中にしましょう。